食事は必要な栄養とエネルギーを取り入れる行為であり、生きていく上で欠かせません。また、それと同時に食べる楽しみから満足度を得られたり、コミュニケーションを円滑にしたりする役割も果たしてくれます。それに、外出の機会が少なくなった高齢者にとっては、生活にメリハリをつける役割も担っているので、とても重視されています。
そんな高齢者の食事の介助は、介護職の仕事の一つであり、できるだけ利用者自身で食事をしてもらうように、現存能力を活かすことがポイントになります。椅子に座って食べることが基本ですが、ベッドを離れられない利用者の場合は、足を床に下ろして、座位がとれるようにしましょう。また、座位が取れない場合は、体を30度から60度に起こし、頭部を前出させる姿勢をとることが大切です。
それから、高齢者の中には、食事が楽しみという人もいる一方で、食欲が低下している方もいます。食欲がない利用者の場合は、食事をする環境をきちんと整えて、咀嚼しやすい献立に変えるなどの工夫をしていくようにしましょう。そして、誤嚥を防止するために、食事中や食後30分は上体を起こすようにしましょう。また、食事中は、高齢者は唾液の分泌量が少ないため、食事前にはお茶や汁物で口腔内を潤す配慮も欠かせません。こうすることで、利用者は食事を楽しめるようになり、誤嚥防止にもなるからです。
そして、食事のペースは本人に合わせるようにして、食後に口の中に食べ物が残っていたり、顔色や呼吸状態が悪くないか、咳をしたり、むせたりしていないかをしっかり観察するようにしてください。