バイタルサインとは、心拍数や体温、血圧や呼吸回数などのことを指し、身体の兆候を調べるときに役立ちます。そのため、介護施設では、利用者の健康管理をするうえで、バイタルサインを定期的にチェックしなければなりません。
心拍数に異常があれば不整脈が疑われるため、手首の脈拍を調べることは介護職員や看護師の大切な仕事になります。また、体温測定の際に、感染や炎症の兆候として高熱に注目しますが、低体温も循環機能が衰えて、免疫力が低下した場合に起きるので注意しなければなりません。
それから、高齢者は血管が硬くなって高血圧になりやすく、血圧を測定することも重要です。降圧剤を服用している場合であっても、薬剤の効果を確かめるために血圧測定は疎かにしてはいけません。そして、心肺機能が低下した高齢者の呼吸回数や呼吸のリズムを調べることも忘れないようにしましょう。通常の呼吸回数は毎分15回から20回くらいと言われていますが、心肺機能が衰えると、呼吸の回数やリズムが変わってきます。呼吸抑制が生じたら、酸素の吸入量が減ってしまい酸欠になりかねませんので、十分に気をつけてください。
酸素の血中濃度は、酸素飽和度と呼ばれ、サチュレーション測定で検査することができます。酸素飽和度は95パーセントを切ると酸欠になると言われています。また、利用者の体調に異変を感じたら、声かけを行なって反応を調べたり、手を握って握り返す力を確認したりして、意識レベルを調べましょう。意識レベルは覚醒状態に異常がないか検査するもので、測定機器は必要ありません。脳梗塞やてんかんの症状を確認するために意識レベルのチェックは重要です。意識レベルの調査は、認知症の進行度をチェックする際にも役に立つと言われています。